PRODUCTS Special Library vol.3
ドアを彩るアンティークの金物
今回は、La Cienega(ラ・シエネガ)で扱っているドアノブ・ドアハンドル・ドアノッカー・ドア押し板から、様々な製品を取り上げながら、アンティークのドア金物・ドアパーツの世界をお届けいたします。
La Cienega(ラ・シエネガ)へご来店されたとき、おしゃれなアンティークのドアを再現しようと、ドアノブ・ドアハンドル・ドアノッカー・ドア押し板を購入される方がいますが、現代のドアに付けるには注意する点が多いです。そこでここでは、取り付ける時の注意点やそれぞれの利用目的・方法。そして、『アンティークのドアノブ・ドアハンドル・ドアノッカー・ドア押し板』の魅力や、当店に並ぶまでの経緯などについて、深く書いてみることにしました。
この記事をきっかけに『アンティークのドアノブ・ドアハンドル・ドアノッカー・ドア押し板』に興味を持っていただけたら嬉しいです。
そして、当店にご来店いただければ、人気の高い真鍮製など、アンティークのドアノブ・ドアハンドル・ドアノッカー・ドア押し板に出会うことができます。
01:ドア金物との出会い
シャンデリアの買付でヨーロッパの街を歩いていると、歴史的、デザイン的に美しく、世界観のある建築物をあちこちで見ることができます。次へのアポイントメント先に急いでいる途中でも、その街並みの美しさに、立ち止まって写真を撮ったり、ついつい見入ってしまうことがあります。
特に見ていて好きなのが、ファサード(建物を正面から見たときの外観)で、その中でもドアです。
特に見ていて好きなのが、ファサード
ヨーロッパのドアには、彫刻、鋳造、銅レリーフなどの手法で繊細な絵柄が付いていたり、防犯用目的もあってかとてもゴツくて、威圧的だったり、素材も木製、鉄製、真鍮製、など時代や階級で色々な種類があります。デザインも多様で日本のドアデザインはどこへ行っても画一化された印象がありますが、地域での違いなども魅力の一つです。本当にどの建物のファサードを見ていても飽きません。重厚な存在の中に、装飾が施されていて、日本のドア文化・様式との違いも大きくてとても面白いです。
Italian brass door handle PAIR
イタリア製アンティーク真鍮ドアハンドルペア
大変雰囲気のよい、真鍮製のドアハンドル
左右反転セット。2点ペア。
縁には上品な飾り模様がデザインされています。
さらにドア全体をよく見てみると、年代・様式の違いなど様々なデザインの、ドアノブ、ドアハンドル、呼び鈴、レタースロットなどのドア金物が付いています。今ではオートロックとなっているところが多いですが、それでもドアそのものは今も真鍮製でデザインされているものが多く、日本のドアデザインとは全然違います。
その一つ一つを見るたびに、胸が高鳴ります。
買付に行くと、ゆっくり回って歩くのは難しいですが、目に止まったファサード・ドア金物はつい目がいってしまいます。そして見るところも建造物全体ではなくて、やっぱりドアなどの金物が目に入ってきます。店で扱っているからという理由よりも、シンプルに好きだからという気もします。
しばらくは見て楽しむ物だったドア金物ですが、その後行ったイタリアの蚤の市で出会った100年くらい前の飴色に育ったブロンズ製のドアハンドルを買ったのがドア金物を集めるキッカケとなります。
お店で扱うから好きなのか、好きだからお店で扱うようになったのかはわからないですが、ヨーロッパの買付に行くと必ず気になってよく見るのは、ファサード・ドアです。
02:今のドアノブ・ドア金物と、アンティークのドアの金物の違い
アンティーク風の新品とアンティークの違いは、アンティークは手入れをすれば経年変化を長い間楽しめるところだと感じています。真鍮やブロンズは最初はただの金色なんですが、時間が経つと酸化してどんどん黒ずんでいきます。でも、手で触る部分は手の脂で綺麗なアメ色に変化していきます。それを業界では”育つ”というんですが、それが最大の違いだと思います。逆にアンティーク風の新品は真鍮風の塗装が施されてはいますが、使えば使うほど剥げてきてチープになりがちです。
特に、触れる・動かすと使われることの多いドアノブ・ドアでは、日に日にアンティークとアンティーク風の違いは見違えるようになっていきます。
アンティークのドアの金物は育つ
新店舗や新築、リノベーションの内装で、クラシックやインダストリアルな世界観を求めている場合、壁、床、天井など広い面積の部分にお金をかけて作っても、新品(素材やデザインにもよるが)のアンティーク風の金物を使うことで、照明が当たった時の光具合など、いかにも頑張って作った感や、チープ感が出てしまうという現場を多く見てきました。
逆に、壁、床、天井などのお金がかかる部分はあまり作り込まずに、ドアノブ、ドアハンドル、ドアノッカー、コートフック、サインプレート、ミラー、絵、家具、什器などの細部に、こだわったアンティーク小物を使ってトータルで安く雰囲気を作ってたりする現場を見た時は、上手いなーって思います。
なので、クラシックやインダストリアルな世界観を求めている場合、金物などの細部にはこだわって欲しいとお伝えしています。
Italian brass door handle 2P SET
イタリア製ビンテージゴールド真鍮ドアハンドル
金ピカハンドル ハードウェア
ピカピカゴールド色の真鍮製ハンドル
角度によってキラリと光ります。
軽めのドアにも、キャビネットにも使えそうなサイズ。
ちなみに、新品の真鍮製のドアノブ・ドア金物は今もなお作られていますが、真鍮そのものも高く、職人を見つけ加工するところまでとなるととても高価となる場合が多いです。なので、今売られているものの多くは、真鍮風のドアノブ・ドア金物が多くなっています。
また、新築ではドアはセットになっていて、金物一つ一つを決められない場合が今は多いですので、ドアを作り上げて行くときに、一つ一つ個別に選んで行けるのもアンティークのドアの金物の醍醐味です。
03:ドアハンドル・ドア押し板・ドアノブ・ドアノッカーの違い
アンティークのドア金物を実用的に使うには、日本の一般的なドアでは難しい場合があります。
おしゃれで気に入ったドアハンドルをいざ取り入れようと思ったところで、ドアに必要な厚さが足りずにつけられないなどのケースも見てきました。また、片開き・両開きでは適したドアハンドルのデザインや一緒に用意の必要なものも変わりますので、当店ではドアの金物を購入される方には必ず設置についてお聞きしています。
そのためここでは、ドアに関する金物一つ一つの違いをわかりやすく解説しています。
来店される際は設置するドアの開き方・ドアの厚さ(素材・大きさ)などをあらかじめメモして来ていただくと選ぶ際にお話ししやすいです。
ドアハンドル
ドアを手前に引っ張って開ける用途で使われます。
ドア自体の開閉は主にドアクローザーが行います。ドアクローザーの設置ができない場合、ドアは自動で閉まらず、手動になります。なお、引き戸につけても良いです。
ドア押し板
ドアを押して開ける用途で使われます。
ドアハンドルのボルトなどを隠す意味合いもあります。ドア自体の開閉は主にドアクローザーが行います。
両面をドア押し板にする場合もあれば、片面をドアハンドルとする場合もあります。
それによって、ドアに必要な厚さは変わります。
日本ではあまり見られないドア金物ですが、ヨーロッパでは多く使われるドアタイプの一つです。
ドアノブ
ドアをノブにより回して開ける場合に使われます。
ドアの開閉は手動、使用する場合はドアをドア枠に固定しておくためのラッチが必要になるため”ドアの厚さ”も重要になります。また、回して押すのか・引くのかによっても設置方法は変わります。日本では鍵穴がセットでついたタイプのものが多く、比較的ドアの金物としては使われていることが多いですが、アンティークのドアノブは、日本の製品とは構造が違うケースが多いので、実際に設置して使う場合は注意点が多いです。
ドアノッカー
ドアをノックする用途で使われます。
現代は商業施設では自動ドア、住居ではインターフォンが主流ですので、主にドアの装飾として使われます。
日本ではインターフォンを使うことが主流のため、インターフォンを設置せずにドアノッカーのみにすると、経験がない人は、ノッカーを使用してノックすることをためらう人もいます。写真は欧米で一番よく見るシンプルで王道なデザインのものです。
ドアクローザー
玄関などのドア上部についていて、
ドアをゆっくりと自動的に閉めるための装置です。
欧米で見かけるのはハンドル&押し板の組み合わせが主流なので当店では、この使い方をおすすめしています。
日本人はドアの開閉において割とせっかちで、クローザーの作用によってドアが徐々に閉まるよりも、ドアの両面にハンドルを取り付けて、開ける時も閉める時もハンドルを使う方が勝手がいいみたいです。
防犯上の事や、両面ハンドルの方が扱い慣れている事も原因としてあるかもしれません。
※ 店舗へ来ていただければ、店舗内でそれぞれのドアの違いを体験していただくことができます。
04:思い出のドアノブ・ドアハンドル
当店のエントランスドアは、海外で作ってもらったオリジナルの真鍮ハンドルで、1920年代のインテリアのハンドルから型をとって作ってもらいました。当店のエントランスドアのハンドルとして長い間活躍しています。
新店舗や新築、リノベーションの内装で、クラシックやインダストリアルな世界観を求めている場合、ドアが日本様式となっている場合もありますが、ヨーロッパの様式を取り入れるだけで、とても変わります。
05:人気・王道デザインのアンティークのドアノブ・ドアハンドル
ヨーロッパでよく見られる、両開きのドアタイプで使うドアハンドルは人気が高く王道です。またドアハンドルでは、動物のモチーフが人気があります。特に中でも王道のモチーフはライオンです。当店では1900年代のものを中心に取り揃えていますので、その一部をここでは取り上げています。
【1】は、ヨーロッパでよく見る両開きのドアハンドルです。シンプルでとても使いやすく、ビスで留めるだけなので取付けやすいのもポイントです。また、【2】の真鍮製のドアハンドルは、全⻑が60cmと⻑く、ボルトでしっかり固定できるので、大判で重厚感のあるドア向きです(裏面は押板を取り付けるタイプ)。現代物の市販ハンドルで納得のいかない方、ハイブランドのエントランス装飾や、高級感のあるドア周りにしたい方向けです。【3】の羽のモチーフが付いた装飾性のある真鍮製の両面ハンドルは、ボルトでしっかり固定できるので、重厚感のあるドア向き。現代物の市販ハンドルで納得のいかない方、ハイブランドのエントランス装飾や、高級感のあるドア周りにしたい方向けとしておすすめです。
【4】は、欧米の古いホテル、レストラン、商業施設でよく見るデザインのドアハンドルです。こちらもビスで留めるだけなので取付けやすいタイプで、人気があります。ナチュラル、シャビー、インダストリアルな雰囲気や、【5】のようなブルックリン系の内装にも合うアイアンワークが施されたドアハンドルも人気のあるデザインです。ちなみに、当店のエントランスドアにも使われている海外で作ってもらったオリジナルの真鍮ハンドルも【6】として、取り上げています。先ほども登場した1920年代のイタリアのハンドルから型をとって作ってもらったものです。
【7】は、欧米でよく見かけるデザインのハンドルと押板がセットになった、レアなペアのドアハンドルです。日本サイズで使 いやすい大きさです。【8】はずっしり重厚感のある真鍮製のドアノブです。現代物の市販ドアノブで納得のいかない方、ハイブランドのエントランス装飾や、高級感のあるドア周りにしたい方向けにおすすめです。【9】は、アメリカでよく見られるクリスタルノブです。オリジナルのラッチがついた物はなかなかレアですが、取り付けも難しいので購入するときは注意が必要です。
【10】は、ライオンの意匠がついたドアノッカーです。ドアのハンドルとしても使えます。上でも触れましたが、動物のモチーフは人気があり、特に王道はライオンです。【11】は、押板の例です。【12】は、レタースロットです。
06:DIYのポイントにアンティークのドアノブ・ドアハンドル
アンティークのドアをDIYで取り入れる場合は、ドアの開閉の構造への理解が必要です。
デザインが気に入って手に入れても、実際に取り付ける段階で、使えないという場合も多いですので、インターネットなどでアンティークのドア雑貨・ドアの金物を見つけて購入し、失敗するケースがあります。
こういった場合、アンティークのドアノブ・ドアハンドルは室内のドアや装飾として使う方もいます。
真鍮製でデザインの美しいドアの金物は、それだけでも存在感がありますので、ドアを変えることができない人でも、インテリアなどのDIYのパーツとして手にするというのも、楽しさであり、選び方の一つです。
当店では、ゆっくりと見ていただけるように多数のドアハンドル・ドア押し板・ドアノブ・ドアノッカーを店内で見られるように飾っていますので、あらかじめ数点見たいものを見つけお越しいただければ、それぞれについて詳しくご説明させていただくことも可能です。